第3章 ペリドットの癒し
(男として、嫌いではないなぁ)
美形なその顔を、アレスはぼぅっと見つめた。
「……お前なら、良い」
「え?」
ルヴァイドの顔に思わず見惚れていたアレスは、彼の言葉を聞き逃してしまった。
「俺はどうやら、お前に心を盗られたようだ」
アレスの手首を引っ張り、ルヴァイドは彼女を胸に抱き止めた。
「え、えぇっ!?」
状況についていけていないアレスは、ルヴァイドの香水の香りが鼻について、一気に顔を赤面させた。
慌てふためくほど、男の抱擁は強くなる一方だ。
「俺達が出逢ったのも、何かの縁だな」
「ちょっと待って!!いつもそうやって女を口説いてるんでしょう!?」
非力な力で、ルヴァイドの胸を突っぱねるアレス。
精一杯の様子だが、あまりに弱いその抵抗にルヴァイドは苦笑した。