第3章 ペリドットの癒し
無意識に何度も手首を擦るアレスのその手首を、ルヴァイドの大きな手が掴んだ。
「な、何?」
急な事に驚くアレスだったが、今度は彼の手を払ったりはしなかった。
「これはなんだ」
ルヴァイドが低い声でアレスに問う。
彼の視線は、カーディガンの袖から見える、彼女の細い手首にはっきり残る痣に集中していた。
「あ…これは…」
「誰かに襲われたのか!?」
痣は明らかな圧迫痕。
その大きさからいって、人間の男の手で強く掴まれたに違いない。
「俺の部下か?」
怒りを滲ませるルヴァイドに、アレスはひきつった。
「違うわよっ」
「なら言え、誰にやられた!」
何故目の前の男はこうも熱くなっていて、そして何故私が怒鳴られるのかとアレスは腑に落ちない顔をした。
そして思案する。