第3章 ペリドットの癒し
憮然たる面持ちでアレスを見下ろせば、とりあえずは怪我の一つもないようで胸を撫で下ろす。
そっとアレスの側に近寄り、彼女の華奢な肩をなるべく優しく揺すった。
「おい」
「…………」
なかなか目を覚まさないアレス。
どこか具合でも悪いのだろうかと、ルヴァイドが心配して彼女の手首に触れた瞬間。
「!?」
突然アレスの瞳が見開かれ、怯えた表情でルヴァイドの手を振り払ったのだ。
「す、すまぬ」
あまりの怯えように、ルヴァイドは反射的に謝った。
「あ…、なんだ、ルヴァイドだったのね…」
アレスはその紫の瞳を何度か瞬き、見知った顔に安堵の溜め息を溢した。
「寝ぼけたのか?」
「だって急に何かが触れてきたから…」
手首を擦りながら、銀髪の男の顔を思い出してアレスは俯いた。