第2章 ターコイズの守護
「お前は大事な客人だからな。俺の目の届かぬ所で間違いがあっては困る」
暗に、欲求不満の男所帯の中に入り込んできたアレスの身を案じての言葉だった。
「…貴方はどうするの?」
アレスが遠慮がちに訪ねれば、事務処理が済んだのかルヴァイドは立ち上がり、寝台の下から大きな袋を取り出した。
「俺はこれで寝る。女が体を冷やすのは毒なのだろう?」
気候は良いが、夜の山は冷える。
そう言って寝袋を広げるルヴァイドは、とても紳士的だった。
彼女の沈黙を困惑と理解したルヴァイドは、佇むアレスに微笑して見せた。
「心配するな。襲ったりしない」
「…っ!?」
「もう遅い。早く休め」
あからさまに怯えるアレスに、微笑みが苦笑に変わった。
「…貴方が寝てる内に逃げるかも知れないわよ?」