第2章 ターコイズの守護
「客人を連れて参りました」
イオスは背筋を伸ばし、天幕の中に居る上司に向かって声を掛ける。
「入れ」
短いルヴァイドの返答。
イオスに背を押されて中に入れば、鎧を脱いだルヴァイドが簡素な事務机に向かって書類にペンを走らせていた。
「もう下がって良いぞ」
「はっ」
イオスとしてはアレスが何者であるのか、上司の口から直接聞きたかったのだが、下された命令に対して素直に敬礼し天幕から出ていった。
「汚れは落ちたようだな」
着替えたアレスのこざっぱりとした姿を、書類から目線を外してしげしげと見つめる。
そして、設置されている寝台を顎で示すと、再び書類に目を落とした。
「お前はそこのベッドを使え」
「ここで寝るの?」
アレスは緊張した表情でルヴァイドを見やる。