第2章 ターコイズの守護
口調こそ穏やかであるが、反論を許さないような視線がアレスを射抜く。
アレスは肩を落とし、逃走を断念した。
「…分かったわ。ただし人権だけは擁護して下さいよ」
その余りの落胆ぶりに、ルヴァイドは彼女の肩に手を置いた。
アレスはびくりと体を震わせる。
「…そう怯えるな。お前の待遇は保証する」
革の手袋をはめた手で、肩にかかるアレスの髪を一房掴んだ。
「何故だろうな。剣すら交えた相手だと言うのに、穏やかな気持ちにさせられる」
ルヴァイドはアレスの髪を鼻先に持っていき、そのまま口付けた。
流れるような所作にギョッとして、アレスは目を見開く。
「なな何してるんですかっ!?」
口説くのなら時と場所を選びなさいよ!!…どぎまぎするアレスの内心に露ほど気付かないルヴァイド。