第2章 ターコイズの守護
挙動不審になったアレスを物珍しそうに見下ろしていたが、その状況が焦れったくなったのか、アレスの細腰に腕を回すと軽々と抱き上げた。
「…なっ!?」
「静かにしていろ。暴れたら落とすぞ」
そう言えば、アレスは諦めたように静かになった。
ルヴァイドが僅かに燻る種火の中を歩き始めれば、アレスはそこかしこに転がる遺体から目を背ける。
「…どうしてこんな事したの」
泣くのを堪えている震えた声で、アレスはルヴァイドに問うた。
「…軍の命令だったのだ」
聖女を捕らえよ。
村人達を皆殺しにせよ。
「…俺達は殺人集団ではない。その命令は不服なものだった」
だが、逆らえなかった。
抗い方が分からなかった。
「お前に言われて、気付かされた」
俺は本当に愚か者だ。