第2章 ターコイズの守護
顔を強張らせながら言うアレス。
そんな彼女に、黒騎士は兜を脱いで面を晒らけ出した。
「俺の名はルヴァイド。お前は?」
髑髏の兜からこぼれ落ちたワインレッドの髪に、ルビーの瞳。
アレスの予想に反してまだ若く、整った顔立ちをしていた。
「…私はアレス。捕虜になるのは嫌。このまま逃がして下さい」
悪人面ではなかった黒騎士に、誠意を込めて懇願する。ダメ元であろうが。
ルヴァイドは兜を小脇に抱えると、改めてアレスに掌を差し出した。
「ならば、客人として招こう」
結果的に、お前には炎に巻かれるところを助けてもらったわけだしな。
「…というのは建前だ。俺はお前に興味がある。少し話がしたい」
「どう足掻いても逃がしてくれないみたいね…」
「不服か?」