第2章 ターコイズの守護
「!?」
「そんなに死にたいのか」
アレスが声にならない悲鳴を上げて咳き込めば、彼女を助けた黒騎士が呆れたように呟いた。
「ゲホ…ッ!!一体、どういうつもりよ!?」
「それはこちらが聞きたい。自らの退路を断つ程の攻撃をして、お前はどうするつもりだったんだ」
黒騎士が指摘する通り、アレスの放った召喚術のせいで二人の周りは完全に火の海だった。
「あ…」
迫り来る炎の熱にアレスは絶句した。
そんな彼女を、有無を言わさず引き起こし、黒騎士は倒れそうなその体を支えてやる。
「水を使える召喚獣を喚べるか?」
アレスは黒騎士を見上げ、小さく頷く。
「ならば停戦だ。まずはこの状況から離脱する」
お前の力を貸してくれ。
「…命だけは助けてくれる?」
「約束しよう」