第2章 ターコイズの守護
そのあまりの威力は回りの木々も薙ぎ倒し、家屋の崩壊も巻き込んだ。
舞い上がる土埃に視界が遮られ、吹き荒れる爆風にアレスは焦る。
(あいつはどこ!?)
黒騎士の姿が見えない。
きっと気配を消して、死角から攻撃してくるに違いない。
あまりに無防備な自らの状態に、心臓が警告音を鳴らすかのように激しく動く。
アレスの視界に、揺らぐ影が飛び込んできた。
「黒騎士っ!?」
慌てて杖を構えれば、迫ってきたのは倒壊する家屋の柱。
「え…」
そんな物が迫ってくるなど予想だに出来なかったアレスは、身動き一つ取れなかった。
(……潰される!!)
詠唱も間に合わない。
アレスは死をも覚悟して体を強張らせた。
そんな彼女の首根っこに黒い腕が伸び、力任せに彼女を真横に引き倒す。