第2章 ターコイズの守護
「俺を惑わすなっ!!」
「…!?」
物凄い気迫を孕んだ怒鳴り声に、アレスは思わず後ずさった。
黒騎士は目の前の彼女を完全に敵と判断したようで、剣の柄を持ち直し構える。
「俺はもう戻れぬ…っ、血塗られた道を進むしかないのだ!!」
「そんなの、分からないじゃない!!」
アレスも魔導杖を構え、詠唱を口ずさむ。
「その減らず口、叩けなくしてやろう!!」
黒騎士が間合いを飛び出し、アレスの目前に一気に攻めいった。
(…速すぎるっ!!)
大柄な体に重厚な鎧を纏っているとは考えられないようなスピードに、アレスは冷や汗を流した。
「女とて容赦はせぬぞ!!」
黒騎士の大剣が、アレスを襲う。詠唱を中断させることの出来ない彼女は、杖を手に細腕で大剣を受け止めた。
「…く…ぅっ!!」