第2章 ターコイズの守護
「女とは戦えない?」
「お前は何故戦うのだ」
質問を質問で返されて、アレスは若干ムッとした表情を見せた。
「一宿一飯の恩義ってところかしら」
しばらく考えた上で小首を傾げて言えば、黒騎士が呆れた様子で吐き捨てる。
「そんな物で命を捨てるとは、愚かだな」
「貴方にそんなこと言われたくない」
アレスの言葉に、黒騎士の纏う雰囲気が変わった。
二人の間合いは、黒騎士の攻撃範囲には遠い。アレスは続けた。
「貴方の本心は、後悔してるんでしょう?」
「……何だと?」
「流れに逆らえず、でも足掻きたくて仕方がない。足掻き方が分からない。そんな状態の貴方に、愚か者呼ばわりされるなんて心外です」
「貴様に何が分かる」
冷静を装ってはいるが、黒騎士の動揺が伝わってきた。