第2章 ターコイズの守護
黒騎士は振りかぶって空いたリューグの脇腹に蹴りを入れると、手から離れた斧の先端に剣先を突き刺した。
「ち…っくしょお…」
武器を破壊され、自らも急所への打撃に呼吸を整える事もままならない。
「ワシの家族に手を出すなぁあ!!」
「くどいっ!!」
アグラバインの渾身の一撃も黒騎士に呆気なく流され、容赦なく反撃されて地に落ちた。
リューグは唇を噛み締め、滲んだ血の味に苦笑した。
(ここで終わっちまうのか)
さっきまでの平穏は何だったのか。死とはこうも突然にやって来るものなのか。
近づいてくる黒騎士の足音に、リューグは頭を垂れて思考を停止した。
「…一瞬で終わらせてやる」
黒騎士がチャキリと大剣を握り直した。
そして腕力と重力に任せて、少年の脳天目掛けて降り下ろせば。