第2章 ターコイズの守護
「約束、守ろうね」
ロッカの耳に、優しい声が響いた。びっくりして顔を上げれば、炎によって巻き上がる風に髪を押さえながら微笑むアレスがそこにいた。
「アレスさんっ!?」
「私はここに残るわ。元々彼らとは繋がりがないし、それに」
穏やかな眼差しが、ついと細められて戦う黒騎士を見やった。
「召喚術を使える人間がいた方が良いわ。たぶんあなた達だけでは勝てない」
鎧を着込んで大剣を振るうくせに動きに疲労が見えない黒騎士。
反して、肩で息をするアグラバインとリューグ。
リューグはもはや勢いだけで、ぶれる刃先を意味もなく振り回すだけだ。
そんな隙を、黒騎士が見逃すわけがない。
アレスは慌てて詠唱を開始した。
(間に合って!!)