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セレスタイトの歌声【サモンナイト2】

第9章 ラブラドライトの叡智


視界も、指先の感覚も、全身の感覚が麻痺していく事に恐怖を覚えた。

俺が、俺でなくなっていく。これが──死なのか。

「……たくない」

最後に見たアレスは、酷く傷付いた表情で。
あの男の虚言に彼女を疑い、拒絶してしまった。これが罰だとしたら、皮肉過ぎやしないだろうか。

「…俺はまだ…っ」

任務とはいえ、散々人を殺めてきた男の言うことではないが、ようやく出会えた愛しき者を傷つけたまま逝きたくない。
俺はこの人生で初めて、生に執着した。

「このままでは死ねぬっ!!」

呪縛を力任せに振り払い、腕を伸ばす。
その指先に、何か熱い物が触れた。目はまだ見えない。

『何だ?この魂は』

若い男の声が、すぐそばに聞こえた。魂という言葉に目を見開き、勢いに任せてその熱源に掴み掛かる。

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