第8章 セレスタイトの歌声
「…あんまり長く憑依しても、魂が融合しちまう。俺は生命活動を維持してやるだけで、後の事はコイツ次第だな」
「そう…なんだ…」
ルヴァイドの服をキュッと握り締めて、アレスは笑った。
「でも、生きていてくれるだけで嬉しい」
あのまま、ルヴァイドの心を傷付けた状態で別れなく済んで良かった。
「ルヴァイドの魂が戻って来られるように、私、頑張るから」
「……どうやって?」
泣きながら微笑むアレスを、神妙な面持ちで見下ろすバルレル。その表情にアレスは確信した。
喋り方も雰囲気も別物だけれど、確かにルヴァイドはそこにいてバルレル越しに私を見ている──
「〖ルヴァイド〗に呼び掛け続けるの。帰ってきて欲しいって……彼は絶対に私を裏切らない人だから」
「大した信頼だな」
「だって私は、ルヴァイドを愛しているもの」
愛しているから、信じられる。