第8章 セレスタイトの歌声
短時間ながら、レイムが言葉巧みに心を惑わすことが得意と察したアレスは、ルヴァイドの腕を掴んで宥める。
「……アイツは、本当に悪魔なのか」
未だ現実を受け止め切れていない様子のイオス。
そんな彼の言葉に、バルレルはルヴァイドを一突きした短刀を手にして言った。
「こいつは血識を奪う〖アヴィス〗…こんな趣味の悪い武器を作る奴は、サプレスでも一人しかいねぇ」
血肉のように生々しい色で光る刃。
握る場所は静脈のような青い線がうねうねと走っている。
あまりの趣味の悪い出来とその作り手に、バルレルは苦い表情を作った。
「テメェは人間に裏切られてかつ封印までされちまった情けない悪魔…メルギトス、だろ」
嫌味たっぷりに言い放つ。
アレスとイオスが絶句する中、名指しされた男はパチパチと手を鳴らしてバルレルの推理を褒め称えた。
「素晴らしい鑑識眼をお持ちのようで」
バルレルは魔刀の切っ先を召喚師に向けて、見る者を圧倒する威圧感で睨みつける。
「どうやって封印から抜け出て来やがった?」