第8章 セレスタイトの歌声
そしてルヴァイドを形作る内側を見透かそうと、鋭い眼差しを彼に向けたのは──ものの数秒だった。
フ、と息を漏らして呆れたように苦笑する。
「…大の人間嫌いと噂される悪魔が人間の皮を被るなど、どうした風の吹き回しでしょう」
その言葉に、ルヴァイドの切れ長な目が更に細まった。
「そう簡単にオレの正体に気が付くとは、やはりテメェは同族か」
「おやおや、人間の曇った眼越しでは私の〖中身〗も見えませんか…それとも…」
失われた第3の眼により、魔力を悉く奪われてしまったからしょうか。
「テメェ…なんでそれを…!?」
バルレルは無意識なのか、自身の体ではないルヴァイドの─本来その瞳があった場所─額を手で覆った。
レイムはそんな彼の動作一つ一つに失笑する。
「あの兇乱の魔公子が人間に魔力を奪われたという話は、サプレスの巷を騒がせていましたよ」
まぁ私は部下からその話を聞いたんですけどね…と、レイムは肩を竦めて見せた。
「…ぶっ殺す」
「悪魔の矜持が崩れる程の失態ですし、過去を暴かれて恥ずかしい気持ちは分かりますよ」
「バルレル、奴の挑発に乗ったらだめよ!」