第8章 セレスタイトの歌声
「封印外に干渉する方法などいくらでもあるのですよ」
長い銀髪をさらりと浚って言ってのけた。
「一時ですが、サプレスの魔力が異常にこの世界に流入したこともありましてね。長い封印の時を経て私の身体も回復しましたから、いよいよ──」
リィンバウムの再侵略に乗り出そうと思いまして。
まるで世間話のように言うレイムに、アレスは頭痛がしてきた。構わずレイムは朗々と語り続ける。
「まず手始めに、旧王国を手駒にさせて頂きましたよ。私欲に走る彼らは、実に呆気なく追従して下さいました」
その言葉に、イオスの顔色が変わった。
「元老院はすでにお前の傀儡だったと言うわけか!?」
「その通り。国にいる者達は皆、私の配下に成り変わっています。残すところは黒の旅団のあなた方だけでしたが、私も詰めが甘かった」
ちらりと死体の山を目視するレイムは、すぐに興味を失わせてルヴァイドに憑依したバルレルを見つめた。
「まさか兇乱の魔公子が人間の味方についていたとは思いもしませんでしたが、予想外の事があった方が楽しいですし…ね」
ニヤリと笑うレイムの瞳に射抜かれて、アレスは背筋が凍りついた。