第8章 セレスタイトの歌声
だが、最期に反撃を──と、バルレルから貰った石を無意識に握りしめ限界まで魔力を高めていく。
力の高まりに、アレスの耳に例の声が届いて反響した。
『…歴史は繰り返すのか…』
『しかし、此度は手勢が足りぬ』
『大地の乙女ひとりに、何が出来よう…』
『今度こそ大地は崩壊する』
聞こえる声に、アレスは歯軋りする。
「…分かったようなフリして…」
「アレスっ!?」
「最初から決めつけるなぁあああ!!!」
アレスの怒りが魔力と共鳴して爆発する。
ぶつかる直前の魔槍を弾き飛ばして、レイム目掛けて一直線に飛ぶ波動。
レイムは手を前に掲げ、迫る衝動に肌を粟立たせる。
「素晴らしい…何と心地よい微風よっ!」
大地が鳴動し、拮抗する力について耐えられず裂けていく。
「まだまだ貴女の力はそんなものじゃないでしょうっ?」
レイムがもう一方の手を掲げると、アレスの背後に魔力の球が浮かび上がり──イオスもろとも吹き飛ばした。