第8章 セレスタイトの歌声
しかしレイムの体に触れる前に、魔力の障壁がその弾丸をチリに帰す。
「…こいつ、人間か…っ?」
機械兵士の全力の攻撃でも、その鉄壁を崩せない。イオスの目には、全く消耗した様子の無いレイムが薄ら笑いを浮かべて立っていて。
イオスの零した言葉に、レイムは極上の笑顔を浮かべて言った。
「人間の皮を被った悪魔…と言ったら、もっと絶望してくれますか?」
まるで天使の様に笑うこの男が、悪魔の眷族だというのか。
しかし膨れ上がる禍々しい魔力が、男の言葉を裏付けているようで──
イオスは恐怖に竦む足を叱咤して、アレスと共に敗走する。
「良いでしょう…逃げれるだけ逃げなさい。なぶり殺してやります」
「ヤメロォォオオッ!!!」
ゼルフィルドの制止も虚しく、魔力の塊が槍となって逃げる二人を狙う。
イオスに背負われ、文字通りお荷物となっているアレスは、絶体絶命の状況に死を覚悟した。