第8章 セレスタイトの歌声
「…ぅ…うぁああああああ!!!」
アレスは全てを理解した。
初めからこの男の手の平で踊らされていた事を。
ルヴァイドは最初から救われなかったのだ。
「ルヴァイド…ごめんね…私のせいで…」
私が関わらなければ、生き長らえたかも知れないのに。
私のせいで…私が大事に思う人達はみな、消えてしまう…
「何で、いつも、私だけ…」
ポタポタと、落ちる涙がルヴァイドの横顔を濡らす。
「ねぇ…誰か…」
力が抜けて、ルヴァイドの上体に伏せった。
ぬめる血の温かさが、現実から目を逸らす事を許さない。
ルヴァイドの息が、細くなる。
ルヴァイドの鼓動が遠くなる。
ルヴァイドの魂が、死神に連れて行かれる──
「助けて……」
蚊の鳴くようなアレスの声は、レイムの嘲笑によって掻き消されたのだった──。
+++