第8章 セレスタイトの歌声
「貴様ぁぁあああっ!!!」
咆哮を上げてイオスがレイムに突進する。
振り上げた拳に勢いと体重を乗せて殴りかかるも、華奢な体が仇となって軽く受け止められてしまった。
「何故ルヴァイド様を…っ!!」
ギリギリと腕を捕まえて押し返される。
凶器はどこだと視線を巡らせば、未だルヴァイドの背に深く刺さったままで。
「アレス!ルヴァイド様に召喚術を!!」
ショックに我を忘れているアレスを、イオスは強く怒鳴りつけた。
「……お願い、死なないで…ねぇルヴァイド…!!」
アレスは泣きながらも、震える手を押さえつけて詠唱を開始する。
広がる血だまりに、魔法陣が現れて召喚の門が開かれた。
喚び声に応えたセイレーンは、眼前の凶刃に倒れた男に自らの役目を理解して癒やしの歌声を響かせる。