第8章 セレスタイトの歌声
「随分と執心しますね、ルヴァイド?」
アレスを庇い睨みつけてくる黒騎士を、レイムは含み笑いで見上げる。
「貴方は彼女を愛しているようだ」
「異論はない」
あまりに直球な言葉のやり取りに、イオスをはじめとする部下達は呆けてしまう。一瞬遅れて、アレスの顔が赤くなった。
「おめでとうございます。これでゲームは貴女の勝ちですね」
レイムが、ルヴァイドの背後に隠れたアレスを覗き込んで微笑んだ。そして怪訝な顔のルヴァイドにも同じように笑って見せる。
「ゲーム…だと?」
「初めてお会いした時、彼女にゲームを提示したのですよ」
私に殺されたくなければ、ルヴァイドと恋仲になるようにとね。
「そして貴女は無事にルヴァイドの心を掴んだ。その美貌と体を武器にすれば簡単でしたかね」
まぁとりあえずは、おめでとうございますと言わせて下さい。
「ちょっと待って!!その言い方だと、まるで…」
反論しようとしたアレスに、ルヴァイドはゆっくりと向き直った。その顔はひどく険しいもので、アレスは思わず怯んでしまう。