第8章 セレスタイトの歌声
(封印の森……アルミネスの森のこと?)
盗み聞きがバレないように息を詰めていたアレスは、レイムの口から出た単語に眉根を寄せた。
このリィンバウムで言われるアルミネスの森とは、古の時代にあったとされる人間と悪魔による戦禍の跡らしい。
それはあくまで伝説の類の話であって、それを、古代遺跡の復活だなどと言われてもあまりに突拍子もない話である。
アレスが話の内容に混乱している傍で、天幕の中のルヴァイドは声色をさらに低くして自問した。
「確かにデグレアは十数年、遺跡に眠ると言われる召喚兵器を渇望していると聞くが…それは獅子将軍の部隊が調査を終えているはずだ」
森のあまりの深さに小隊はさまよい、調査を続けたが為に森に呑まれた。あの森に遺跡がなかった事は、唯一生還した召喚師が証言したと聞いている。
ルヴァイドの説明に、顧問召喚師は一瞬だけ妖しい笑みを浮かべた。その禍々しい表情を見逃さなかったルヴァイドの中で、小さく警鐘が鳴る。
レイムはすぐさまいつもの柔和な表情を浮かべると、凛と声を張り上げた。