第8章 セレスタイトの歌声
女性のように線の細い身体で、ストレートロングの銀髪を靡かせて言う青年の言葉は、まるで男色家が言うソレのようだ。
ルヴァイドだけでなくその場にいた部下達は、あまりの気色悪さに一斉に引いた。
「冗談はともかく」
一つ咳払いをして、レイムはルヴァイドに向き直った。
「聖女が今夜ゼラムを発ちますよ」
「本当かっ!?」
もたらされた情報に、ルヴァイドの傍に控えていたイオスが色めき立つ。
ゼラムを出てどこに行くのかは知れないが、行くルートは限られている。街道を行くか、林道を行くか、大平原を行くか。
どのルートを選んでも、こちらも兵を分散して待ち構え、引きつけた所で別働隊が包囲すれば──
「ルヴァイド様っ、今度こそ聖女を──」
「待て、イオス」
作戦を提案しようとした腹心を、ルヴァイドは手で遮る。
そしてゆっくりと腰を上げ、レイムに向き直るその横顔がすごく厳しくて。
(ルヴァイド様…?)
イオスは不安げな面持ちで上司を見上げる。