第8章 セレスタイトの歌声
まるで嫉妬心からのような行動に、レイムは唇を釣り上げて笑った。
「どうやらそのお嬢さんは具合が悪いようですね。ルヴァイドの所に連れて行きましょう」
アレスもゼルフィルドも、コクリと首を振ってその意見には賛同の意を示す。
早くルヴァイドの下に帰りたい。
そして、早くこの怪しい男を追い払ってもらいたい。
「もちろん私も同行させてもらいますよ」
続けられた無慈悲とも言える言葉に、アレスはゼルフィルドの鋼鉄の胸に顔を埋めて涙した。
+++
「お久しぶりですね、ルヴァイド」
「……お前か」
張り覆った天幕の中で行われている作戦会議に、無遠慮に入り込んできた来客。
声を聴くだけでも不快だと言わんばかりの表情を見せたルヴァイドに、当のレイムはにこやかに微笑んだ。
「表情が豊かになったものですね、ルヴァイド。本心から私を嫌っているのが透けて見えますよ」
「分かっているのなら失せろ」
「嫌です。私は貴方が大好きなんですから」