第7章 クリソプレーズの囁き
「でもフロト湿原でイオスを庇って嘘がバレて……仲間内に敵の間者がいたら不穏だからって…」
「つまりは追い出されてきた訳か」
アレスは少しだけ毛布から顔を出す。
「追い出されたって言うよりは、自分から出てきたんだけど…」
「夜間に歩き回るハメになったのだから、どちらでも同じ事だ。奴らは女をそんな時間に放り出すのか」
いや、そもそもの原因は旅団にある。
イオスが口を滑らせなければ、アレスは白を切り通せたかも知れないのだ。
その考えに行き着いて、ルヴァイドの眉間のシワがますます深くなる。
アレスは彼の思考に思い当たり、宥めようと体を起こした。
「イオスは悪くないのよ!あの状況じゃ仕方がないもの」
死に直面した状態で、アレスの都合を慮れと言うのは無理な話である。
「しかしだな…」
「結果としてあなたの下に戻って来れたんだもの。仲間から嫌われたのは悲しいけど……」
ルヴァイドのそばに居られて、本当に安心しているの。