第7章 クリソプレーズの囁き
その口振りと強い包容が嘘ではないと感じて、アレスはゆっくりと瞼を閉じる。
「…ごめんなさい」
謝罪の言葉に、様々な感情が混ざり込んで涙が溢れた。
ルヴァイドは幼子をあやすように、アレスの頭をポンポンと撫でる。
あまりに優しいその手つきに、本当は父にこうして欲しかったと、幼少時の感傷が蘇ってアレスはさらに泣いた。
「…もう大丈夫だ」
俺がそばにいれば怖くないだろう?
──アレスが先の精神的ショックから涙していると解釈したルヴァイドは、極力優しい声をかけた。
そしてゆっくりとアレスを抱き上げると、壊れ物を扱うようにゆっくりとベッドに横たえる。
「ルヴァイド…?」
初めて見る彼の穏やかな顔付きを、アレスは不思議そうに見上げた。
ルヴァイドはベッドの縁に腰掛けると、小さな手を取って口付けた。