第7章 クリソプレーズの囁き
「そう、見えたのか」
「誰でも好きな人に裏切られたら、冷静にはいられないと思うよ」
アメルの発言に、ロッカの息が止まる。
「気付いていないと思ってたの?ロッカはわかりやすいって、さっき言ったでしょ」
石のように固まってしまったロッカに、アメルはくすりと笑った。
「ロッカは理想主義で潔癖だから、好きだった人が例え悪い人じゃなくても、敵の息がかかっていたら許せないんだよ」
「……まさかアメルからそんな事を言われるとは、夢にも思わなかったよ」
ロッカは動揺を紛らわすように口に水を含む。
「マグナさん達と出会って、こうして暮らすようになって…あたし気付いたの」
今までは人に嫌われたくなくて自分を押し殺していたけど、それじゃいけないんだって。
マグナさんやフォルテさんは、自分に嘘をついてないからあんなに楽しそうに笑うんだって。
「それに、アレスさんはあたしの言葉を聞いてくれた。その時あたしは聖女じゃなくて、アメルとしてここにいて良いんだと思えたの」