第6章 アイオライトの涙
いつの間にか地鳴りも止んで、謎の声も聞こえなくなっていた。
「…なにが、起こったの…?」
サァサァと雨が降り続く中、アレスは力無くへたり込んだ。そこは水溜まりであったが、それを気にして移動する気力は残っていなかった。
「誰かいるの…?」
誰が私を助けてくれたのだろうか。
人を殺める寸前の私を止めてくれたのは、誰?
「お願い…返事をして」
闇の中に声を掛ける。
すると応えるように二対の光が点滅した。
「……ダイジョウブカ、アレス」
アレスの前に暗闇から姿を現したのは、あの旅団にいたロレイラルの機械兵士だった。
呆然とするアレスに近付き、泥だらけのその顔を覗き込んでゼルフィルドは音声を発する。
「我ガせんさーに、アレスニ忍バセテオイタ発信機ノしぐなるガ届イタ」