第6章 アイオライトの涙
アレスを拘束していた男が怯み、アレスは自分に覆い被さっていた男の下から慌てて這い出した。
転がっていた杖を手に、脳内に響く声と鳴動するように揺れる大地に足を踏ん張って男たちを睨みつける。
口は、アレスの意志とは関係なしに召喚術の呪文を口ずさんでいた。
(ちょっと待って…!!)
〖何を躊躇う。こいつらは我らの乙女を汚そうとした罪人だ〗
(私まだ、人を殺したことなんて…)
〖人殺しが恐いか?だがこいつらの罪は万死に値する!!〗
〖殺せ…殺すのだ!!〗
(い、いや…っ)
囁く声に抗えず、徐々に威力を形にし始めた召喚術にアレスは血の気が引いていく。
男たちは揺れる地面に立っていることも出来ないのか、四肢で這いつくばっていた。