第6章 アイオライトの涙
「し、心配なんかするかよ!オマエがあまりに不憫だから俺様はなぁ…!!」
「ありがとう…バルレル…」
「だぁーっ!!もう泣くんじゃねぇ!!」
バルレルは地団駄を踏みながらアレスを怒鳴り付ける。
そんなに怒られても、止まらない涙は止まらないのだからしょうがないじゃないのと、しゃくり上げながらアレスは言う。
「…ったく、しょうがねぇな」
バルレルは疲れたように息を吐くと、門扉の脇に腰を下ろしてアレスを手招きする。
「落ち着くまで傍にいてやるよ」
耳を赤くして言うバルレルの、悪魔とは思えない優しい言葉にアレスは笑った。
「…そんなに優しくされたら、もっと泣けてきちゃう」
「5分だけだからな。5分で泣き止めよ」
「…はーい」
隣に座って、膝を抱えて涙を隠す。