第6章 アイオライトの涙
「ホラよ、餞別だ」
「これは…?」
「オレの魔力を込めてある」
アレスは受け取った結晶をまじまじと見つめた。
「"血の閃光"みたい…」
「なんだそりゃ」
「アイオライトって石に赤い変種があってね、その名前がぴったりだなぁって思ったの」
バルレルにはよく理解出来なかったが、一つ忠告をしておく。
「旅団の連中には気を付けろよ」
得体は知れないが、ヤツらの仲間に悪魔が混じっているのは間違いない。
「悪魔の気配を感じたら…って、オマエ何泣いてんだよ!?」
ちらりとアレスを見やれば、彼女は大粒の涙を溢していて、バルレルはぎょっとする。
「ごめ…バルレルが心配してくれたのが、嬉しくて」
煙たがられ、嫌われて、出て行く事になってしまった自分にはバルレルの言葉がすごく嬉しい。