第6章 アイオライトの涙
アレスが別れの言葉を言えば、惜しむようにフォルテが言った。
「俺はお前さんは悪くないと思ってるぞ。…離れても"トモダチ"だからな」
「もちろん私もよ」
ケイナも泣いていた。
アレスはこれ以上口を開けば嗚咽が漏れてしまいそうで、頷いて見せるだけに留めた。
レルムの双子は心痛な面持ちで項垂れていて、アレスは気の毒に思ったが、余計な事を言って傷つける前に屋敷を出ることにする。
「忘れ物は無いわよね」
リュックを背負い、杖を片手に玄関を開ければ日はとうに落ちていて、今にも雨が降りだしそうな空模様だ。
携帯用の傘では心もとないから、屋敷を出たらすぐ大きい傘を買いに行こうと商店街に足を向けた矢先。
「オイ」
思いもよらぬ人物が後についてきていて、アレスは素直に驚いた。