第6章 アイオライトの涙
「イオスから手を離してもらおうか」
感情が声に出ないように冷静を努める。
その態度が横柄に取られたのかは知れないが、フォルテが語気を強めて口を開いた。
「なぁ黒騎士の旦那、後から出ばって来てもこの場の主導権は俺らにあるんだぜ?」
「それは先程までの話だろう…出ろ!」
ルヴァイドが号令をかけると、イオス隊の倍以上の数の兵士が姿を見せた。
「…既に包囲されていたのか」
ネスティが冷や汗を垂らし後退る。
数多い敵の中に、姿の見えなかったミモザの姿があってマグナとアレスが同時に叫んだ。
「伏兵として潜んでいたようだが単独行動をしたのは迂闊だったな…では、取引としよう」
ルヴァイドはマグナをねめつける。
「人質交換だ」
それは提案ではなく命令。