第6章 アイオライトの涙
「何で…お前がアレスさんの名前を知ってるんだ」
その言葉に、誰かの息を飲む音が聞こえた。
アレスは落胆する。
まさかこんな簡単に黒の旅団との繋がりがバレるとは。
仲間たちの疑念の視線が背中に集中するのを感じて、この場から逃げ出したくなる。
そんな彼女に助け船を出すかのように、一際強い覇気の持ち主が茂みから姿を現した。
「黒騎士っ!!」
「現れやがったな…!!」
ロッカとリューグが身構える。
ゼルフィルドは将の出現により、一歩引いて前線から下がった。
ルヴァイドは形容しがたい雰囲気の戦況を一瞥すると、表情のないアレスを見つめた。
またしても敵対する事になった彼女の眼差しに、思わず背筋が痺れる。
言わずもがな興奮していた。
仮面のお蔭で笑みを悟られる事はなかったが。