第5章 ラリマーの調和
「本当に面白い場所ね」
草と地面の間に水が溜まっているので、歩くたびにフワフワと浮き沈みする足元。
湿地には街中では見られない、珍しい動植物がたくさんある。
アレスは地面を見渡して、小さくボヤいた。
「これといった鉱石はないか…」
鑑定対象が欲しくてもここには泥ばかり。
残念そうな顔で木陰に腰を下ろしたアレスは、ぼんやりと仲間たちの様子を伺った。
気晴らしの行楽と言ってもやはり緊張感は抜けないのか、いつ襲撃されても良いようにアメルを中心に散開している。
「アレス!」
ぼーっとしていたアレスの耳に、鈴を鳴らしたような可愛らしい声が届いた。
顔を向ければ、先日仲間になったばかりのミニスが小走りで駆け寄ってきた。