第5章 ラリマーの調和
「何ちんたら歩いてんだ」
「もしかして待っててくれたの?」
アレスの笑顔に、リューグは顔を背けた。
「違ぇよ。隙だらけのテメェに殿を任せちゃおけねえと思ったからな」
そう言うリューグの眼差しは鋭い。全身からピリピリとした殺気を僅かに放ち、辺りを警戒している。
「そんなに緊張してたらリューグが疲れない?」
「はっ、素人じゃねぇんだから自分のペースぐらい保てる」
「あんまり心配かけないでよね」
やれやれと肩を竦めて彼を見やれば、きょとんとした瞳で見つめ返された。
「俺の事まで心配してくれるのかよ?」
「当たり前じゃない」
当然といった様子で頷くアレスに、リューグは頬を掻いて小さく呟いた。
「…テメェこそ、何でもかんでも背負込みすぎじゃねぇのか」