第5章 ラリマーの調和
「どうして君がその事を知ってるんだ」
ネスティの声が低くなり、目付きが鋭くなった。
図らずも墓穴を掘ってしまった事をアレスは理解する。
口篭る彼女を見据え、そして視線を前方のマグナへとやり、ネスティは疲れたように嘆息した。
「どうせあいつから聞いたんだろう?派閥の機密事項を部外者に漏らしたらどうなるか、キツく灸をすえてやらないとな」
「勘弁してあげて、聞いた私も悪いんだから」
「そういう問題じゃない」
「あのネーチャン、見かけによらず凄いんだなぁ」
フォルテは暢気に感心している。
「…しょうがない。僕も同行することにしよう」
ネスティは荷物を背負い直して歩き始めた。
その隣をフォルテが行く。
「なぁ、あいつら出てくると思うか?」
「十中八九襲ってくる」