第1章 カルセドニーの導き
「へぇ~。アレスさんってすごいんだな」
分かったのか分かってないのか、へらへらした笑顔のマグナにアレスも笑った。
「立ち話もなんじゃ、お茶を淹れるから一息つきなさい」
「私も手伝います」
アグラバインの小休止の合図に、アレスは彼を追って台所に入る。
やかんを火にかけ急須にお茶を入れたアグラバインは、人数分の湯呑みを並べているアレスにポツリと呟いた。
「…お前さん、聖王家の勅命で動いておるのか」
もしここで必要な鉱物が発見されたら、この村はどうなるんじゃ。
「とりあえず調べてみなければ分かりませんが…もしそうなった場合は、聖王家の所有物になります」
アレスの言葉に、アグラバインは二の句を告げず息を吐いた。その表情は深刻である。