第5章 ラリマーの調和
「…この戦いを止めたい、っていうのが一番の理由かな」
アメルのためにも、そして…
「…アレスさん、鍋が吹き零れそうです」
「あっ、危ない危ない」
ほんの少しだけ彼の人に想いを馳せていたつもりが、だいぶ呆けていたようでアレスは慌てて火を弱めた。
「平和的に解決出来たら良いんだけどね」
「それが出来たら一番ですけど…」
二人とも無理であることは百も承知である。村を焼き討ちするような強硬派の相手に、話が通じるとは思えない。
「そういえばアグラお爺さんはどうしたの?」
アレスはミソを溶かしながら思い出したように聞いた。
確か最後に見た姿は、意識がなく双子に担がれて撤退する姿だった。
アメルは瞳を潤ませる。
彼女の姿に、アレスは最悪の事態が頭を過った。