第5章 ラリマーの調和
アメルの境遇に少し同情するアレスは、流しで手を洗いながら問い掛けた。
「手伝うわ。何したら良い?」
「え、アレスさん料理出来るんですか?」
アメルは、唐揚げを揚げる手を止めてアメルを見やる。
何となく、アレスは育ちが良さそうで家事全般は他の人間に任せてきたような雰囲気がある。
そう、まるで貴族の子ミニスと同じように、包丁すら危なくて持たせてもらえないのではないか…というような高貴な印象を持っていた。
「石にしか興味がないように見えてもね、料理は好きな方よ」
「あ、何かごめんなさい…じゃあ、朝御飯の用意をお願い出来ますか?」
「了解」
アレスは冷蔵庫を開けて、中身を見渡す。
アメルみたいに凝った料理は作れないが、朝食なので簡単なメニューで充分だろう。