第5章 ラリマーの調和
独りで悩むもどかしさは無くなったものの、いつバレるか分からない不安が付きまといアレスは嘆息した。
ここ数日、溜め息ばかり吐いているような気がする。
(口止め料として早速お酒を献上しようかな)
アレスは苦く笑うと、いそいそと台所に向かって行った。
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台所の扉を開けると、途端に鼻をついた油の匂い。
見れば聖女がコンロの前に立って何やら揚げていた。
「おはよう」
「あ、おはようございます」
「朝から揚げ物してるの?」
竜殺しの空き瓶を流し台に置いて、アレスはアメルの隣に立った。
脇には既にこんがりきつね色に上がったエビフライやコロッケのような物、そして投入前の唐揚げ用肉がところ狭しとある。
「今日はピクニックなんですよ」
面食らっているアレスにアメルは笑う。