第5章 ラリマーの調和
アレスはわざとらしく笑って見せるが、本心は抱き締めた時に感じた、冷えたバルレルの体を心配しての事。
言わなくても感情を読むだろうとあえて黙って見つめれば、バルレルはヒラヒラと手のひらを振って姿を消してしまった。
「まったく…飲みすぎよ」
両手で握れる限界の本数を抱えて、アレスは文句を垂れる。
それと同時に、肩から力が抜けるのを感じて溜め息を吐いた。
思わぬところで黒の旅団との繋がりがバレたが、結果的に支援を受けられそうで何だかほっとするアレス。
悪魔の言葉なので確証はないが、何故かバルレルの言葉は信頼に値すると思えた。
「マグナの影響かしらねぇ」
人を無条件に信用して信頼する、お人好しの駆け出し召喚師。
ネスティの、当然の詰問から庇ってくれた。