第5章 ラリマーの調和
二度と誓約に縛られるものかと決意していたのに、再びリィンバウムに呼び出され、挙げ句は惨めな子供の姿にされてしまった。
「あなたの本当の名前は?」
「言わねぇ」
教えようものなら最後。
これまで培ってきた矜持が足元から崩れてしまいそうだ。
バルレルはアレスの腕の中から抜け出すと、1度背中から突き出た羽を大きく広げた。
「おい下僕、それ片しとけ」
「…かしこまりました」
バルレルの命令に、アレスは仕方なくといった様子で頷く。
手に空き瓶を拾いながら、テラスを去ろうとする彼に声をかけた。
「シャワー浴びた方が良いわよ。お酒臭いから」
「…そーか?…って下僕のクセに偉そうに命令すんじゃねぇよ!」
「だって御主人様が臭いのは嫌だもの」
ねぇバルレル様?