第5章 ラリマーの調和
自信に満ち溢れた不敵な態度は、アレスに安堵と彼に対する信頼感をもたらした。
「ありがとう、バルレル君」
ふわりと腕を彼に伸ばし、華奢なその体を引き寄せて抱き締める。
「なっ!?」
あまりに自然なその動きにバルレルは抵抗を忘れ、彼女の腕の中で驚愕の声を上げた。
「あなたは今は子供の姿だけど、本当は違うんでしょう?」
アレスの言葉に、ピタリとバルレルの抵抗が止んだ。
「…何で分かる?」
「何となく、あなたは普通の悪魔とは違う気がする」
「それは…褒められてんのかぁ?」
バルレルは外見に見合わない苦笑を漏らす。
「まぁ…見てくれで判断しなかったあたり、お前は他のニンゲンどもと違うことは認めてやるよ」
霊界サプレスでは結構名を馳せているが、今はその名も廃る姿だ。