第5章 ラリマーの調和
そして、どんなけったいな取引を持ちかけるかと思いきや、酒を報酬代わりにすれば良いとは。
実はこの悪魔、案外いい奴なのかも知れない。
「あなたの下僕になる事で状況が打開できるなら、喜んで下僕になるわ」
アレスはバルレルの前に座り込んで笑う。
バルレルもそっと近づき、アレスの紫色の瞳を覗き込んだ。
「…良いだろう」
バルレルの瞳孔が、蛇のように細まった。
そして指で頬をなぞられる。壊れ物を触るような優しい接触に、アレスの心臓がドキリと鳴った。
「テメェのやりたいようにやってみな」
バルレルは歯を見せて言った。
「まだ得体の知れねぇヤツらに対する具体的な対策は言ってやれねぇ」
だからとりあえず、お前の思うように動いてみな。
「尻拭いは俺様がしてやるからよ」