第5章 ラリマーの調和
「…俺様は悪魔だぜ?ニンゲンが何を考えてるのか、大体読めんだよ」
なんと言うことだ。
愕然とするアレスの、その手を払い除けながらバルレルは笑う。
「テメェごときのニンゲンがどうこう出来る程、今回の件は単純じゃねぇと思うがな」
忠告なのか嘲りなのかは分からないが、目の前の小悪魔は鋭い犬歯を見せつけながらケケケと笑った。
アレスは彼の言葉に、改めて無力感を実感し項垂れる。しかし、すぐに考えを切り替えた。
自分の浅知恵より、悪魔の悪知恵の方が役に立つのではないか。
アレスは面を上げると、バルレルにすがり付く。
極力声を抑えて問い掛けた。
「どちらも尊重したい私は、どうすれば良いかな…!?」
「はっ、テメェで考えろよ?」
バルレルは冷たく突き放す。