第5章 ラリマーの調和
黒いコードのように揺れるその尻尾は、予想に反して短い毛に被われていて、温かくすべすべとしていた。
「気安く触るんじゃねぇ!この売女!!」
「えっ?」
子供の口から到底出るとは思えない言葉に、アレスは目を見開いた。
「それはどういう意味かな?バルレル君」
何とも言えない感情が胸に広がるのを感じて眉をひそめる。
「…ふーん。なかなか良い負のオーラだな、優秀優秀」
バルレルは、アレスから伝わる負の感情に舌鼓を打つように舌なめずりをした。
「テメェ、黒の鎧のヤツらとつな…ふがっ!?」
台詞を言い終わらないうちにと、アレスはとっさにバルレルの口を手で塞いだ。
「……何を根拠に言ってるのかな?」
顔がひきつり、笑おうとする表情は逆に凄んでいるように見えなくもない。